ゴルゴ13に学ぶ
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趣味のひとつは読書だが、マンガも例外ではない。書籍やマンガ本は収納スペースを相当取られるため、集めることにあまり価値を感じていない。そんな私でも、発売以来、一冊も欠かさず集めているコミックがある。
ご存知の方も多いと思うが、「ゴルゴ13」(リイド社)がそれである。1969年1月から連載を開始し、以来一度も休載せず、今も「ビッグコミック」(小学館)にて日本のコミック史上最長連載記録を更新中である。一部マニアから、“ゴルゴ学”なるものまで登場しているほどだ。 ゴルゴ13とは、職業倫理に照らしてどうのという議論はこの際避けたいが、超一流のスナイパーで、組織に属さず単独で行動し、本名、国籍、生年月日は不明、高額で受ける仕事は国家機密レベルから私怨に至るまでと幅広い。しかもその成功率はほぼ100%という高い精度を持ってクライアントの信に応えている。
その「ゴルゴ13」の最新版133巻に、コンサルティングという職業に関わる者、常にこうありたいという名言があったので紹介したい。 そのシーンは次のとおりである。 ある国の国内随一のコンツェルン会社で、国家を左右するプロジェクトの大事な決定場面を迎えているにも関わらず、自社内の若手グループにスパイが存在し、しかもそれが誰なのかが分からない。そこで、そのコンツェルンの老会長がもはや誰も信用できなくなった悲しみをゴルゴ13に打ち明け、今や絶対的に信用の置ける彼にスパイを暴くことを依頼する。その時の老会長の「あなたのように、独りで生きながらえる術を、知りたいものです。単独で生き抜きつつ、世界から必要とされる……」の言葉に、「俺はただ、依頼者が絶対的に求める、技量と価値観を身につけるよう心掛けているだけだ……」とだけ答えてその場を後にする。
私なりに定義をしてみると、依頼者がゴルゴ13に絶対的に求める技量とは、期限を厳守した100%の成功であり、絶対的に求める価値観とは、誰にも漏らすことなく間違いなく任務を全うすることである。 この一言を、まさにコンサルティングの世界にも置き換えられないだろうか。 クライアントがコンサルタントに求める技量とは、自社内で持ち合わせていないノウハウと高付加価値・高品質なソリューションの提供、そして価値観とは、自社内で解決できない問題や課題を自社の風土にマッチさせてきっちり解決してくれるだろうという期待感なのではないだろうか。私達は、これらのことを理念として常に掲げ、そして誠実に遂行することが職務だと認識している。クライアントが求めるものに応えられないのであれば、それはコンサルティングとは言わないであろう、とすら思う。 さらに、上記の一言の中で最も琴線に触れた言葉とは、「・・・・・・依頼者が絶対的に求める・・・・・・」の部分である。ここにこの文言が入ることによって、求める者と求められる者、双方の緊張度合いが100%にまで高まる心地がする。 今までお会いした、そしてこれからお会いするクライアントの方々の絶対的なニーズに応えられるよう、そして120%の満足感を持っていただけるよう、常にゴルゴの一言を心掛けたいものである。
最後に余談になるが、30年以上もの間、一度も休載することなく読者の元にゴルゴ13を届け続ける著者、さいとう・たかを氏に最大の賛辞を持って敬意を表したい。500話を超えるエピソードで紹介される世界情勢、人々の喜怒哀楽、そしてゴルゴ13が解決に至るまでのその効率的かつ緻密な手法にはいつも驚かされる。と同時に、Gの秘密と言われる出生の秘密や高額な報酬がもたらすその資産額など、彼にまつわる逸話についても何巻かに一度は触れ、私達読者を気持ちよく翻弄してくれる。著者によると、最後のエピソードはすでに決まっているそうである。読者は、今手元にあるストーリーを楽しむと同時に、来るべき最後のエピソードを想像して楽しむこともできる。まさに彼こそが、読者の求める絶対的なニーズに応えることを実践している第一人者なのではないか。
(芝沼 芳枝)
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